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子どもたちに知ってほしい!サッカーの裏方職業についてのまとめ。⑥スポーツカメラマン編

将来、子どもたちの職業の選択肢になるかもしれないサッカー選手以外の裏方の職業についての第6弾です。

実業之日本社から出ている『サッカーの憂鬱』(能田達規著)をテキストに、サッカーの裏方の職業をシリーズでお届けします。

今回はスポーツカメラマンについてです。スポーツカメラマンという職業について、少し深く掘り下げてみましょう。

photo:William Warby

CASE.6 あらすじ

カメラtopphoto:Sophie Asia

場面はスタジアム。土砂降りの雨です。カメラのボディにビニールをかぶせ、自分は頭から濡れながら女性カメラマンが写真を撮っています。

試合が終わりました。負けたチームの選手の一瞬の咆哮を撮るために、女性カメラマンはピッチサイドに駆け寄ります。

その写真はみごと、『サッカージャーナル(この漫画の中に設定されている雑誌です)』に掲載されるわけですが…

スポーツカメラマンとはどんな職業?

カメラ2photo:m01229

スポーツカメラマンとは、スポーツシーンを撮影するカメラマンのことです。大きく分けて、カメラマンには2種類あり、

・映像を撮影するカメラマン
・スチール(静止画)を撮影するカメラマン

となります。映像を撮影するカメラマンは、テレビ局などで働いていることが多いのですが、ここではジュニアサッカーの大会などでもおなじみになった「スチールカメラマン」にスポットを当てて解説します。

スチールカメラマンにも、静(カタログなどの商品撮影)と動(モデル撮影やスポーツ撮影など、動くものを撮影すること)があります。スポーツカメラマンは「動」タイプのカメラマンです。

スポーツカメラマンの日常とは

カメラ3photo:Julie V.

『サッカーの憂鬱』の中に、スポーツカメラマンのある週末の様子が描かれています。

土曜日:東京を出発し、仙台でナイター試合の撮影、真夜中12時過ぎまでかかってデータ入稿
日曜日:午後から新潟でクラブユース大会の取材
夜には東京に帰り、別件の打ち合わせ

東京→仙台:車で約5時間
仙台→新潟:車で約4時間
新潟→東京:車で約6時間

の移動時間となります。ちなみに、仙台ではワゴン車の中に寝袋を持ち込んで泊まっていた模様です。

実はこれは、漫画の中だから誇張しているというたぐいの話ではありません。Jリーグのスタジアムは全国にあります。契約している雑誌などの意向にもよりますが、通常は近い範囲の試合を回れるように組むようです。

といっても、関東エリア以外はスタジアムが点在していることは、サポーターの方ならご存知だと思います。北海道から沖縄までJリーグのチームは存在しています。

いまは情報網の発達に従って、データ入稿ができるようになりましたので、一部地元カメラマンに依頼している雑誌もあるかもしれません。しかし、社員カメラマンや契約カメラマンに依頼することも多いのが現状です。すると、このようなハードな日程が現実のものになるのです。

スポーツカメラマンの見どころ

カメラ4photo:Teddy Kwok

スポーツカメラマンの写真を私たちが見ることができるのは、雑誌や新聞の写真などです。Jリーグなどへ行くと、マッチデープログラムやムック本などにも載っています。

スポーツカメラマンにはタイプがあります。写真をたくさん見慣れてくると、「○○さんのだ」とわかるようになるのもまたサッカーを見る楽しみです。

岸本 勉さん

デジタルカメラの技術向上に伴い、1試合で撮影することのできる写真の量は飛躍的に伸びました。頻繁にシャッターを切り続けるカメラマンたちとは対照的に、「狙った瞬間が来るまでシャッターを切らない」というのが岸本さんです。

ワールドカップの最終予選では、ピッチサイドのカメラマンだけで100人を超えるカメラマンがいます。その中で、決定的瞬間をどうとらえるか、どうオリジナリティーを出していくかがカメラマンの腕の見せ所です。

岸本さんの写真は、本当に一瞬を切り取ったみずみずしさが特徴です。

こちらで見ることができます(被写体はカヌー選手です)。

私のNIKKOR(参照サイト:Nikon)

岸本さんのプロフィールや来し方はこちらからどうぞ。

サッカーを愛してやまないあの人のゆめのはなし(no.068)(参照サイト:スルガ銀行)

スエイシナオヨシさん

「写真を撮る」のではなく、「自分が思い描いていた絵を狩りにいく」というのがスエイシナオヨシさんです。

スエイシさんの写真は「浮遊感」が特徴。動きのある写真を撮るカメラマンです。「ジャンプをしたりドリブルをしている瞬間、選手が中に浮いている写真はいつも狙う」とのことです。こちらの写真は選手が浮いてはいませんがスピードを切り取ったような写真です。

サッカー五輪代表・久保裕也「最終予選で3年前の借りを必ず返す」(参照サイト:web Sportiva)

スエイシさんについては詳しくはこちらをどうぞ。

カメラマンが語る:スポーツ写真の魅力とは(参照サイト:NumberWeb)

佐貫 直哉さん

佐貫さんが大事にしているのは、スタジアムの雰囲気や空気感。もともと静物カメラマンだったこともあって、スタジアムという入れ物の雰囲気も入れた写真を撮りたいと思ったのがきっかけのようです。

試合前の展開予想、自分なりのストーリーを組み立ててイメージを作り、その瞬間が来るまで待つ。もちろん、待っている間にいいシーンが通り過ぎていくことはあるようです。「そこで勝負をしないとほかのカメラマンと同じ絵になってしまう」

こちらが佐貫さんの写真です。ざわめきや躍動感、スタジアムのなんともいえないどよめきが伝わってくるような写真です。

1997.11.16 マレーシア・ジョホールバル

佐貫さんのプロフィールなどについてはこちらをどうぞ。

カメラマンが語る:スポーツ写真の魅力とは(参照サイト:NumberWeb)

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サッカー専門のカメラマンはいない?

カメラ5photo:Joyce cory

それぞれのカメラマンの参照サイトを見ていただくとわかると思いますが、他のスポーツだったりモータースポーツだったりという広範囲の「スポーツ」というものを撮るのがスポーツカメラマンです。

サッカーだけ撮るというのは、Jリーグチームのオフィシャルカメラマンくらい。あるいは、サッカー雑誌しか作っていない会社の社員カメラマンくらいです。

スポーツと名の付くものはすべて撮る、くらいの根性がないとスポーツカメラマンにはなれないようです。

スポーツカメラマンの機材について

カメラ6photo:Garry Knight

スポーツカメラマンと言えば、「特大のキャリーケース、望遠鏡みたいなレンズ」がセットだというイメージがあります。

実際に、北京オリンピックのときにスポーツカメラマンは何を持っていったのか?を調べてみました。

キヤノン:EOS-1D Mark III 2台
キヤノン:EOS 30D 1台
レンズ:
EF 16~35mm F2.8 L II USM
EF 24~70mm F2.8 L USM
EF 70~200mm F2.8 L IS USM
EF 400mm F2.8 L IS USM
EF 600mm F4 L IS USM

ニコン:D3 2台
レンズ:
AF-S 14~24mm F2.8 G ED
AF-S 24~70mm F2.8 G ED
AF-S VR ED 70~200mm F2.8 G (IF)
AF-S 400mm F2.8 G ED VR
AF-S 600mm F4 G ED VR

スペアのバッテリー
バッテリーチャージャー
ストロボ(4台)
ストロボ用の単3形乾電池
記録メディア
一脚(2本)
ノートPC
カードリーダー
ノートPC用ACアダプター

もちろん、これは1人でもっていった量です。

ちなみに、どのくらいすごいのか具体的に知るために、値段と重さを調べてみました。これは北京オリンピックのときの機材なので、もう10年近く前の話です。値段は当時よりかなり下がっているということをご承知おきください。

amazonで調べてみました

キヤノン:EOS-1D Mark III 2台 中古品で1台8万円~・1155g(×2)
キヤノン:EOS 30D 1台 中古品で1万3000円~・700g
レンズ:
EF 16~35mm F2.8 L II USM 17万3480円~・640g
EF 24~70mm F2.8 L USM 18万9050円~・1200g
EF 70~200mm F2.8 L IS USM 23万3000円~・1500g
EF 400mm F2.8 L IS USM:中古品で88万8000円~・13kg
EF 600mm F4 L IS USM:中古品で69万5980円~・13kg(ちなみに新しいモデルは116万9771円~)

ニコン:D3 2台 中古品で13万8800円~・2900g
レンズ:
AF-S 14~24mm F2.8 G ED 20万8000円~・1000g
AF-S 24~70mm F2.8 G ED 28万800円~・1500g
AF-S VR ED 70~200mm F2.8 G (IF) 中古品で11万~・2300kg
AF-S 400mm F2.8 G ED VR 111万6087円~(定価は約142万円)・4.7kg
AF-S 600mm F4 G ED VR(現行機種で見つけることはできませんでした。AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR は139万8181円~・12㎏)

今、これらのものを全部そろえようとすると、金額にして約500万円。新品だった当時は、これよりも当然高い値段です。

そして、重さ。

単純計算で56.75kg。これにノートパソコンその他のカメラではない持ち物が加算されます。これらをもって現地入りするのです。スポーツカメラマンとは技術と機材はもちろんのこと、体力もないとつとまらない職業なのです。

「物語」をつかまえる

カメラ7photo:Ronnie Macdonald

サッカーの試合は、壮大な物語です。何万人という観客をはらはらどきどきさせ、興奮させる物語を、現地にいない人に伝えるのがスポーツカメラマンの仕事です。

そのためには、試合を象徴する一瞬を90分の物語の中から切り取らなければいけません。その写真を見て試合のどよめきが伝わってくるような、1枚で試合が語りつくせるような凝縮された一枚を撮るために、今日もピッチサイドにカメラマンは立っているのです。

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閑話休題:ジュニアサッカーの写真をきれいに撮るためには?

カメラ8photo:Pedro Ribeiro Simoes

今、大会や試合、合宿にはカメラマンが帯同して、後日その写真を売ってくれるサービスがあります。大きな大会や大規模な合宿には必ずと言っていいほどいらっしゃいますよね。

カメラマンの機材は真似できなくても、テクニックをちょっと取りいれて、素人でもプロのようにサッカーの写真が撮れるテクニックがあります。

レンズは250mm~300㎜くらいをめざそう

ジュニア選手の試合を撮影するときは、ピッチサイドまで行けることがほとんどです。ピッチサイドまで行けるならこのくらいのサイズのレンズをめざしましょう。

もっと遠いところから(たとえば、大きなスタジアムの観客席など)きちんととろうとしたときは、400㎜以上のレンズがあるとよいといわれています。

シャッタースピードを1/500以上に

スポーツは動きが早いです。なので、普通のシャッタースピードで撮影するとブレブレになってしまいます。

プロの写真は、被写体(選手)にピントがばっちり合っていて、背景がぼけていることがほとんどですよね。

デジタル一眼の場合は、AV,あるいはAのダイヤルに設定し、ISOをちゃんと設定します。そして、Fの数値はF5.6にすること、連写モードにすることによって背景がぼけます。

レンズのズームは動かさない!

ズームは一番望遠側に固定します。動かしたくてもじっと我慢して被写体を追いかけます。すると、画面一杯を使った雑誌の表紙のような写真が撮れるようです。

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。おすすめです。
参考記事:元スポーツカメラマンの一眼でサッカー撮影テクニック(参照サイト:Camera Story by一瞬一撮)

スポーツカメラマンを目指すジュニア選手のために

カメラ9photo:Ben Stephenson

スポーツカメラマンになるには、所属カメラマンになるかフリーランスのカメラマンになるという方法があります。

所属カメラマンとは、新聞や雑誌、通信社や写真エージェントなどに就職し、カメラマンの仕事をする人たちです。

フリーランスのカメラマンは、どこにも所属せず、自分で売り込んで単発の依頼に応じていくカメラマンです。

カメラの技術を学べる大学は、代表的なところが日本大学の映像学科にあります。カメラマン養成の専門学校もありますが、意外なことに全然カメラの勉強をしてこなかった人が一線でスポーツカメラマンになっていることは結構多いものです。

「こういう写真を撮りたい」という強い気持ちと、体力、そして技術を学び続けようという真摯な姿勢があれば、出身学部や大学は問わないというのがカメラマンの世界のようです。

外国語を使えることも有利になる

スポーツに関わる仕事をすることは、海外にも目を向けることになります。国境のないものはスポーツと音楽といわれますが、世界的に行われているものがほとんどですから、必然的に海外へ行って取材をしたりすることも出てきます。

その際、外国語が話せることは非常に有利です。情報を自分で手に入れることができるようになったり、交渉ごとに有利に働いたり、現地でのコミュニケーションが思わぬ効果をもたらしたりします。

カメラマンに興味のあるジュニアは、外国語の勉強も頑張っておきましょう。

人を感動させることが好きな人は向いています

良い写真は、その場の感動をリアルに与えます。そして、フレームの中では撮られた人が主人公。スポーツにドラマを感じる人に向いている職業です。

参考文献

『愛するサッカーを仕事にする本』(フロムワン 2008年8月)

『サッカー馬鹿 海を渡る』(川内イオ 著 水曜社 2009年1月)

『シャッターチャンス物語』(北中康文 著 日本写真企画 2014年7月)

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最後に

感動の一瞬を1枚に閉じ込めて私たちに届けてくれる職業がスポーツカメラマンです。

フレームの中では被写体が主人公です。皆さんのお子さんの輝きを一枚に収めるため、ピッチサイドにカメラマンがいる風景も珍しくなくなりました。

カメラマンと言えば一昔前は技術的にかなり高度なものが必要だったようですが、今は技術の進歩によって素人でもそれなりのものが撮れるようになったということです。

その写真の迫力が、視聴者を酔わせ、「見に行ってみようか」と思わせ、観客には「そうそう、これが象徴的なシーンだったよ」と鮮やかに目の前に感動をよみがえらせることのできる職業。そんなカメラマンたちに支えられてスポーツは盛り上げられているのです。

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