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子どもたちに知ってほしい!サッカーの裏方職業についてのまとめ。⑭ライター編

将来、子どもたちの職業の選択肢になるかもしれないサッカー選手以外の裏方の職業についての第14弾です。
実業之日本社から出ている『サッカーの憂鬱 2』(能田達規著)をテキストに、サッカーの裏方の職業をシリーズでお届けします。
今回はライターについてです。ライターという職業について、少し深く掘り下げてみましょう。

photo:David K

CASE.14 あらすじ

ライター1photo:Aapo Haapanen

暗い部屋の中で男性が膝を抱えてビデオを見ています。そのビデオは、今日行われた「福山クレントス」の試合。試合会場で見て、ビデオを見て、そして再度ビデオを見る。

「同じ試合を3度は見る」というこの男性がライターです。通称・キタノンというこの男性が今回の主人公です。

ライターとは?

ライター2photo:Michael Newton

「書く人」のことです。ですが、一言でライターと言っても、タイプは結構異なります。

◆オフィシャル系ライター

Jリーグなどのチームと契約し、そのチームの記事だけを書くライターです。試合の記事だけではなく、広報誌に載せるような選手のインタビューや特集なども行うことがあります。

◆クラブ密着系ライター(番記者)

サッカーの新聞やサイトなどと契約し、特定のチームを担当して記事を書くライターです。

◆ノンフィクション系ライター

興味のある事柄について取材し、掘り下げ、追いかけて記事を書くライターです。

◆ジャーナリスト系ライター

このタイプのライターが書くのは、試合や選手のことだけにとどまりません。社会現象の中におけるサッカーや戦術分析や比較など、サッカーに関するさまざまなことを取り上げて記事にします。

◆選手密着系ライター

特定の選手に密着し、取材をします。選手との親交の中からテーマを見つけ出し、「その人」について書く人が多いです。

◆テクニカル系ライター

サッカーの技術などを伝えるライターです。ジュニア選手が読むようなサッカーの技術を高めるための本などを執筆します。

このほか、

◆海外系ライター

海外在住で、その土地のサッカー事情や試合情報、選手情報について日本のメディアに発表するライターです。

ライターの分類については、『ジャイアントキリングを起こす19の方法』を参考にしました。

実際のところは、一握りの人以外は複数ジャンルを融合させている人が多いように感じます。ほとんどの人はフリーなのも事実です。

「でたー。キタノンポエム」

ライターtopphoto:Steven Lilley

キタノンが書いた記事には、ネットで反応が来ます。

「でたー。キタノンポエム」
「サッカー分かってねー」
(中略)
「選手の採点おかしくね?」
「そもそも日本語がおかしい」

「ぎゃああああ」と頭を抱えるキタノンですが、これはライター共通の「ぎゃああああ」です。「そもそも日本語がおかしい」…痛いですね。

選手やチームに思い入れが深くなってしまうと、その思い入れを言葉で表そうとして「ポエム」になってしまうときがあります。ライターの仕事は、その場面の状況や感動を、抑えた筆致で伝えることなのですが、そこは人間ですのでつい「名文」になってしまうことがあります。

これが「ポエム」です。ただ、このポエムがその人の味になってお気に入りがたくさんつく場合もありますので、悪いことではありません。

まず、感動すること。感動は「感情が動く」ということなので、素晴らしいことばかりに発動するものではありません。「なんだこの試合!」となることもあるでしょうし、「おいおい…」となることもあります。

感情が動かないことには記事は書けません。サッカーライターになりたい人が多いということは、サッカーはそれだけ多くの人の心を動かしているスポーツだと言えるのではないでしょうか。

そして、感動を言葉に代えて人に伝える仕事がライターなのです。

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ライターの一週間

ライター4photo:EvelynGiggles

キタノンをテキストに、ライターの一週間を見てみましょう。

月曜日 休み
火曜日 練習を見学
水曜日 練習を見学
木曜日 練習を見学、夜プレビュー締め切り
金曜日 練習を見学
土曜日・日曜日 試合を観戦、記者会見に出席、記事(マッチレポート)を書く

プレビューとは?

プレビューとは、当日前予想のことです。スタメン予想が主ですが、見どころ、前節との違い、今までの振り返りなども行います。

クラブから情報がもらえる場合もありますが、あくまで自分の目で練習を見ていく中で、「次の試合にはどんなことをやろうとしているのか」「この選手はどのような調子か」を判断し、記事に落とし込みます。

「見どころ」を伝えるにあたり、「これは、見に行かなくちゃ!」という気持ちをお客さんに抱かせることができたら、ライターの仕事は観客動員数増に結びつきます。

「需要があるライター」になるためには

ライター5photo:Juhan Sonin

サッカーライターの方の中には、特定のチーム、特定の選手に的を絞って情報収集し、取材していく方が少なくありません。

もう有名な選手に関しては、きちんと専属のようにライターが付いていることがほとんどです。すでにビッグクラブに関しても同様です。

ですから、地元のあまり注目されていないチームや選手に「これだ!」と光るものを見つけたら、とにかく取材に行きます。もしチームや選手がビッグになっていけば、彼らのことをずっと書いているライターに寄稿が頼まれるのです。

仕事はすぐにはお金になりません。「仕事の報酬は、仕事」という言葉もあるように、最初は自分で仕事を作り出し、売り込みを続けて行って頼まれるようになり、そして選手やチームがビッグになって行けばさらに仕事を頼まれることがあります。

誰が光る選手なのかを見極める目と文章力。そして、書く対象に対する愛情。これが、「需要あるライター」になるために必要な要素です。

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「女性ライターはやりにくい」?

ライター6photo:Torrey Wiley

男性同士だと、選手と長い付き合いのライター、あるいはクラブの人が「ご飯食べにいこう」「おっ、いいね」という流れが自然にあるようです。「今度飲みに行きましょうよ。いろいろ話を聞かせてくださいよ」もあり得ます。

ご飯やお酒の席で気持ちがほぐれれば、心を許していろいろなことを話してくれることもあるでしょう。

しかし、女性ライターには男子選手や男子チーム相手にこの手は使うことができません。誘いにくく、誘われにくいのが現状です。男女平等とはいえ、やはり性差は存在します。

女性ライターの地位が低いのとは違います。現場で差別されるわけでもありません。「どんなにがんばったって、Jリーグのロッカールームには入っていけないでしょう?」といった女性ライターがいました。その言葉がすべてです。

最近は、サッカーの世界だと女子サッカーにも需要が出てきました。女子サッカーの世界には、逆に男性が入りづらいかもしれません。女子サッカーの活躍とともに、女性ライターならではの輝く場面がたくさん出てくることでしょう。

ライターって食べていけるの?

ライター7photo:Lyn Lomasi

ライターには様々なタイプがいます。誰でも最初は「売れない」ので、アルバイトなどで生活の糧を確保しつつ媒体に記事を寄稿していき、そのうちお仕事をもらうという流れが一般的です。

契約がもらえなければフリーライターとしてフリーでの寄稿を続けるわけですが、これがなかなか厳しいのです。

キタノンは「同じ試合を3回は見る」と言います。これで6時間かかります。1回目は実際にスタジアムに足を運び、記者会見にも参加するわけですから、合計8時間ではきかないでしょう。

加えて、調査のための時間がかかります。説得力があり、裏付けもある記事を書くために練習を見に行ったり、話を聞いたりという時間が必要です。

それを考えると、フリーの人は続けていくのが難しく、自然に消えて行ってしまうライターも多いのが事実です。

ライターとして食べていくには、波に乗るまでは他のアルバイトを並行してやっていく、できるだけ移動を安くし、かかるお金を節約するなどの地道な努力が必要です。

余談

「普段は何をしていらっしゃいますか?」…これは、駆け出しのライター同志には「禁句」とされています。ギリギリのところで頑張っていらっしゃる方が多いので、これは「普段はどこで取材してるの?」「最近どこへ行った?」という会話に置き換えたほうがよいのです。

本当に余談ですが、実際に「家が宝石商なんです」という人に会ったことがあります。名刺は自社ビルの住所でした。あと、「奥さんが店をやっているので」という人にも会いました。

そうかと思えば、「日中はバイトです!」という若者もいたりして、本当にさまざまな人がいる業界です。

ライターになりたいジュニア選手のために

ライター8photo:Eelke

ライターは、資格のない職業です。専門学校やライタースクールはありますが、そこを出ていなくても第一線で活躍している人はいます。

・とにかく観戦に行って、書いてみる
・観戦に行かなくても、自分なりに分析して書いてみる
→どこかに発表する
→それを継続する

というのが一つの方法です。

また、実際にライターとして活躍している方に弟子入りしたり、その事務所に就職したり(求人広告は出ないので、自分から探していくことが大切です)、などの道もあります。

参照サイト:スポーツライター鈴木康浩のブログ

ライターになるために必要なこと

ライター9photo:Eduardo Quagliato

メンタル

全ての仕事にはメンタルが必要なのですが、ライターの仕事にはマニュアルがありません。自分ですべて手探りで始めます(弟子入りする場合を除きます)。

誰も何も教えてくれないので、試行錯誤を続けていく必要があります。「一から作り出す楽しさ」が好き、という人に向いています。

体力

「最初は売れない」と書きましたが、それでもやはり試合を見に行かなくてはよい記事は書けません。移動にはお金がかかります。一番安いのは夜行バスなので、金曜日と土曜日の夜行バスにはライターが乗っている確率が高いようです。

試合の日は原稿の即日締め切りの場合が多いので、徹夜で原稿を書かなければいけない日もあるようです。

コミュニケーション力

仕事は人から運ばれてくるものです。人付き合いのない人には仕事は回って来ません。ライターの世界は入札制ではないので、「誰かに頼みたいな…あの人がいた!」のようなことで仕事が舞い込んでくるものだからです。

取材も必要です。初対面の人に質問し、話してもらわなくてはなりません。どのくらいの深さの情報を引き出せるかは、ライター次第です。

初対面の人とも会話が成り立つコミュニケーション能力は絶対に必要です。

文章力

ライターとは、名文を書く人のことではありません。それは「作家」といいます。ライターの仕事は、分かりやすく共感しやすい文章を書くことです。

文章は、書けば書くほどうまくなります。将来はライターのようなお仕事もいいな、と思っているジュニア選手は、日記からでもいいのでとにかく毎日文章を「書く」ことから始めましょう。サッカーノートでもいいですね。

参考文献

『ジャイアントキリングを起こす19の方法』(東邦出版 2011年2月)

『愛するサッカーを仕事にする本』(フロムワン編 アスペクト 2008年8月)

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最後に

キタノンは「試合は3回見る」と言いますが、私自身もジュニアサッカーNEWSに載せる動画の記事を書くときには、同じ動画を最低10回は見ます。多い時には20回くらい。良く見なければわからないこともたくさんワンシーンの中に隠れているからです。

ジュニアの試合は、どうしても活躍する子ばかりに目が行きがちです。目を奪われるようなプレーをする子は必ずいますので。でも、その後ろや横に隠れて見えないけれど、きらりと光る活躍をしている子は必ずいます。

負けたチームにも必ず光る子はいます。ジュニアサッカーの楽しみとは、そういう選手たちの輝きに出会うことではないでしょうか。

これからもたくさんの輝きに出会っていけたらいいなと思っています。

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